滋賀県湖南市の高齢者福祉施設

ある日の昼前、入居者様のお部屋の前を通りかかると、少し空いたドアの間から目が合いました。どうやら古い本を整理している最中であったらしい入居者様でしたが、私を見かけると声を掛けて下さいました。

「ねえ、これもう捨てようかと思ったんだけど、もったいないからよかったら使って？」

そう言って手渡して下さったのは、２冊の古い楽譜。パラパラとめくってみると、耳になじみのある童謡や、有名な外国の歌や、なつかしの歌謡曲など。

私が音楽好きで、楽器演奏を趣味にしていることを覚えて下さっていたようで、「いつかまたここに載ってる曲を演奏してね！」と、とても嬉しいお言葉を掛けて下さいました。

ありがたく２冊とも受け取らせて頂いたのですが、こんなに分厚くて立派な楽譜、私一人が使わせてもらうのはもったいないのでは？もっと皆に自由に見てもらう方法は無いかな？そんなことを考えながら歩いていたところ、１階のロビーで手持ちの楽譜と睨めっこしている入居者様を発見！「どうされました？」とお声を掛けると、「この楽譜、私の歌いたい曲が載ってないのよね。明日新しい楽譜を買いに行こうかと思って」とのこと。すかさず「この楽譜にも載ってないですか？」と貰いたてほやほやの楽譜２冊をお見せすると……

「「あった!!!!!!!!」」

2人で思わず顔を見合わせて、笑顔になりました。これで明日、新しい楽譜を買いに行かなくて済みそうです(笑)

楽譜はその後、娯楽室の本棚に置かせて頂くことになりました。ここで歌ったり、楽器演奏をされる方々に、ご自由に手に取って頂ければと思います。

先程の入居者様も、その日の午後にさっそく手に取って眺め、楽器で曲を演奏して下さったりしました！念願の楽譜を楽しそうに使って下さる入居者様の笑顔を見ると、「良かったなあ」と自然と笑顔になりました。楽譜を譲って下さった方にも改めてお礼をお伝えすると、「使って下さる方がいらっしゃったんですね！捨ててしまわなくて良かったわ」と笑顔を見せて下さいました。

改めまして、ありがとうございます‼私も時々あの楽譜を見て、楽器の練習に励みたいと思います♪